思ったことを口にする

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一造 Ichizo Yamamoto に勧められたNIKEスニーカーデザイナー ティンカー・ハットフィールドのドキュメンタリーの流れで、同じNetflixシリーズ”アート・オブ・デザイン”のビャルケ・インゲルスの回を見た。母国デンマークコペンハーゲンに屋上がスキー場になっているゴミ焼却発電所を設計したかと思えばグーグルの新社屋も手がけたり、いわば世界一人気の建築家と言っても過言ではないと思うが、その強さの秘訣は何なのだろうと思い巡らしているうちに、ふと以前、ポール・グラハムがどこかでこんなことを言っていたことを思い出した。

「私はこの5つの後悔を逆にして5つの戒めにした。 夢を忘れない/働きすぎない/思ったことを口にする/友達を大事にする/幸せになる」

他の4つはどれもよく言われるありふれたことだけれど「思ったことを口にする」というのは何だか面白いなと思ってメモしていた。そうだ、ビャルケ・インゲルスにも似たようなところがあるかもしれない。「ゴミ焼却場の上をスキー場にしよう」なんて馬鹿げ過ぎていて思いついてもなかなか口にすることは憚られそうだし、外から駐車場を見えなくする集合住宅のアイデアなども、とても単純に彼が感じたことを手段問わず実現したら世界の注目を集めた、、、ということなのだろう。

安藤百福も「お湯をかけて食べられる魔法のラーメンを作りたい」と言い出してチキンラーメンを作ったし、本田宗一郎もとにかく「燃費がよく壊れない乗り物を」ということでスーパーカブ(元はホンダカブ)を作った。全部「思ったことを口にする」ことから始まっている。 ちなみにこれは、何かアイデアを形にするという場面以外でも通ずる真理であると思っている。なぜなら喜怒哀楽という4つの感情があるとして、そのうち喜びや楽しさなど(感謝なども)ポジティブな感情は、もちろん表現した方が相手も嬉しいしその喜びは増幅するし、怒りや悲しみも抑えず表現した方が脳にも体にも良いだろう。特に怒りは扱いが難しいけれど、カッときたときも時差を置いて冷静になって、笑顔でカラッと伝えればややこしいことにはなる確率は大きく減るのではなかろうか。

話がだいぶ逸れてしまったけれど、ビャルケ・インゲルスの言動は何となく今を生きる人たちが必要な何かをうまく補うようなものである気がするし、だからこそそのエッセンスが込められた彼の建築が大きく評価されているのだろうと思う。いずれどこかで彼と会う機会も出てくるかもしれないので、このエントリーも英訳しておこうかな。 そして吉成真由美さんと各界の世界的権威との対談本であるこの中にもビャルケ・インゲルス登場してまして、面白いです。