友人の著書発売に向けた応援投稿

友人が本を出しました。駅ナカの小さな書店でも平積みされているのがすごい。

昔から読書家でバックパッカーで物知りだった彼は、大学1年の頃にパソコンの授業で出会って一緒に遊んだり一緒にいろんな活動をし始めた当初から、言葉選びや物事の本質をズバッと捉える才能がありました。

 

2005年のSOW EXPERIENCE設立時、しばらくの間掲げていた「我々のめざすこと」というミッション・ステートメントも彼によるテキストで、当時その文章はとても人気があり、多くの人から評価いただいたことを今でもよく覚えています。

 

そして当時はギフトで紹介しているすべての体験に、それぞれキャッチコピーがつけられていました。

 

ワイルドスピード!激流ドライブ!(ラフティング)

おいしい器の、作り方(陶芸)

乗ってきな、江戸っ子のオープンカー(人力車)

 

これらのコピーも初期の大部分は彼によるもので、これまた割と人気がありました。

 

今は同じ街に住んでいるので、日々すれ違ったり、一緒に食事をすることも多いのですが、それに加えて彼の本文であるマーケティング的な視点で助言をもらうべく仕事の相談をすることも少なくありません。

 

そんな彼の初の著書。

僕はこれまで散々、その知見の恩恵に預かってきているわけなので、オススメできるのは大前提です。気になるのはそこからで、ある程度売れた後にどんな展開が待っているのか、それを楽しみに様子を伺っていこうと思います。

どんな展開になろうと、曜日問わず朝は鎌倉の海に入って波乗りして、そこから仕事に向かうようなスタイルはきっと変わらないと思いますが。

 

2月に出した自分の本と並び、近しい友人のひとつの節目かと思い記念投稿でした。

 

www.sunmark.co.jp

 

食事×工場見学×ショー。秋田で見つけた新体験

昨日、山形・秋田を巡ってきました。
ソウ・エクスペリエンスの体験ギフトに加盟いただく施設への顔合わせが目的ですが、もちろん行くからには他にも色々な施設を覗いたり食事をしたり、それなりに詰め込みます。
そして今回の旅の主目的であり、当社の商品にも近々掲載予定のヤマモ味噌醤油醸造元のコースが突き抜けていたので、少し紹介したいと思います。(ちなみにコース内容は季節や人数により変動があるので、あくまでも一つの例です)

 

ヤマモさんは1867年創業の醤油と味噌の蔵元です。伝統を守りつつ新しいことにチャレンジする一環で「工場内の各施設や各工程をツアーしながら食事をする」というスタイルを作り上げ、今回レストランギフトに提供いただくご縁をいただきました。

 

 

醸造所だから中は寒いはずだし、それに食事するなら座って食べたいな。
はじめはそんな風に思っていたのですが、違いました。

 

コース開始冒頭の段階では今年仕込んだ味噌、5年熟成の味噌、そして30年熟成の味噌の食べ比べなどから始まりました。なるほどこう言う風に味見などして一通り見学を終えてから、後半は館内の別の場所で食事をするのかなと思っていました。


ところが施設内を移動して次のロケーションで待ち受けていたのが小さなテーブルとロウソクの灯り、その上に並べられたジビエ(熊肉)料理とドブロク。ここで説明を聞いたり質問したり、会話しながらツアーは進行していきます。
そう、こういう形で施設内の各施設、醤油や味噌を作る各工程の環境に身を置き、肌で感じながら食事やお酒をいただいていくのです。

 

 

このスタイルに僕はとても新しさを感じました。説明を受けながら施設を巡るガイド付きファクトリーツアーの要素や、美味しい料理とお酒を各ロケーションでいただく食事の要素。それに加えて建築家を目指していた7代目のご主人が、内装や調度品を通じて醸し出す舞台のような空間の中で進行するショーのような要素を併せ持っているような印象です。

途中、蔵内の上部に設けられた茶室でジェラートを食べながらお茶をたてていただいたり、それもまた醤油の香り漂う凛とした空間の中で、これまた不思議で稀有な体験と言えます。

 


最後は暖かなスペースで少し落ち着いて食事とお酒をいただくのですが、ここでも色んな種類の醤油を味見したり、食事と合わせてみたり。探求ツアーは続きます。

 

 

と、色々書いてますが先ほど書いた通り施設内は寒いですし、単なるお喋りをするというよりは職人さんの説明や彼らとの対話を楽しむことがメインなので、普通にレストランで食事をしたいという方には向かないと思います。ですが土着の食べ物とか新しくユニークな体験を求めている人(そしてもちろん発酵への飽くなき興味がある人)には確実に突き刺さる内容だと感じました。

 

ちなみに今回のお話のきっかけは、10月中旬に友人からもらった下記のようなメッセージでした。

 

さてさて、最近御社で開始されております日本のクラフトや酒造での体験ギフトについて7年来支援させていただいている秋田県南の味噌醤油醸造元の体験が素晴らしく、広くお伝えできないかなと考えておりまして、たくさんにもご相談させていただきたく。

ヤマモ味噌醤油醸造元
https://yamamo1867.com/

現在同社は味噌由来の蔵付き酵母を活用した調味料、ワイン、ビール、ドブロクなどの製造を進めております。

また、ファクトリーツアーも8年前より進めておりインバウンドの皆様にも大変喜ばれております。

 

 

ソウ・エクスペリエンスは今回ここで紹介したユニークでオリジナリティ溢れる体験をギフトという文脈に乗せて世に伝えていきますが、他ならぬ私たち自身も、こうして人からのタレコミを通じて情報を獲得したり、新たな世界に踏み入れたりしています。
ギフトとタレコミ、両者に共通するのは他者とのインタラクション、そしてそれによって背中を押したり、押されたりすることを通じて少しずつ世界が広がること。


プレゼントを選ぶ際、何を贈ってもその先には体験があるし、その体験は贈った相手の時間や生活が少しでも楽しく豊かになるものであって欲しいものです。
今回紹介したコースに限らず、ソウ・エクスペリエンスのラインナップには幅広い体験や商品を揃えていますので、機会があれば是非使ってみていただけると嬉しいです。

創業時の失敗から学んだ着眼大局・着手小局(=スモールスタート)

もうすぐ帰宅しなくては、なのですが、サービスリリース19周年ということでひとつエピソードを紹介します。
SOW EXPERIENCEの設立は2005年の5月、けれど最初の商品である総合版カタログGREENをリリースしたのは同年の10月。ここに5ヶ月のギャップがあるのです。この5ヶ月を、僕は今も後悔というか、反省しているという話です。


すぐなくなるものに、5ヶ月を費やしてしまった

年間数十万人が購入し、贈答品としてプレゼントされ、贈られた方々がさまざまな体験をされるサポートをしていく。このオペレーションはそれなりに大規模なもので、その仕組みやノウハウを一朝一夕で築くことはできません。私たちは当初は数人とか10人くらいで、そして今では100人くらいの規模感で、ありとあらゆることに気を配りながら絶妙なバランスを保ちつつ運用している(そして更に拡大すべくチャンスを伺っている)というのが実態です。

ですが、この事業、起業してサービスを開始するまでは割とシンプルなのも事実です。
1.体験コンテンツを集める(いくつかの体験施設と話をつける)
2.1をもとにギフトパッケージをつくる
3.1/2をもとにwebサイトを構築し、売る
これさえできれば商品としては成立し、サービスが開始できるようになります。

2005年5月に起業し、若者数人が駆けずり回った甲斐あって、1は割とスムーズにいきました。そして3も、良いご縁をいただいたりして準備は着々と進んでいきました。僕の記憶が正しければ多分、1と3は起業後2-3ヶ月でスタートするに十分なセットアップは完了できていたように思います。ですが問題は2で、ここにかなり時間をかけてしまったのです。
「贈り物だから信用が大事だし、失礼があってはいけない」という意識が強かったことは事実ですし、そういう気持ちは今も強く抱いています。
ですが、時間をかければかけただけ良いものになるかというと、決してそういうわけではありません。そして実際に、当時最も時間をかけてつくったパッケージは半年以内にリニューアルし、その後も半年くらいのペースで幾度も形を変えていくことになったのです。


そこで学んだ、着眼大局・着手小局

これは2005年の話で、まだユビキタス(常にインターネットに接続しているという意味の、インターネット以前によく使われていた単語)とか言われていた時代ですが、iPhoneの登場もあって世の中は急激に変わりつつありました。
webサービスも次々と登場し、それらのロゴマークの横には多くの場合"β版"と併記されていたことを記憶している方も多いと思います。

「このサービスはテスト運用で、見た目も中身もどんどん変わるから、そのつもりでよろしくね」

そんな意味合いの込められたマークが"β版"だったのだと思います。
そういう時代に突入していたのだから、僕らも、インターネットサービスではないけれど"β(ベータ)版"としてさっさと商品をリリースし、お客様の反応を踏まえて商品を磨き上げていけば良かった。
それなのに、自分たちの妙な拘りと先入観で、動きが遅くなってしまった。これを大いに反省したわけです。

「着眼大局・着手小局」

記憶が少し怪しいですが、この言葉はグラフィックデザイナーの原研哉さんの著書『デザインのデザイン』に出てくる言葉だったと思います。
先ほど書いたような失敗をした後、とある機会に原さんの著書を読み、この言葉を見つけ「そうそう、そうだよな!」と膝を叩いたことを今でもよく覚えています。
実体験があったので、記憶力の悪い僕でも一発で覚えられた言葉、それが「着眼大局・着手小局」でした。

 

すべて最初はβ版

創業期の大いなる反省なのだから、それがDNAとして根づき、今も脈々と、、、と思うかもしれませんが、そう簡単にいかないのが組織というものです。僕らもこれまでの19年間で何度も、この失敗を忘れては、また思い出し、そういうことを繰り返してきました。
そして、結果として今は、大半の新商品は社内で「β版パッケージ」と呼ばれるパッケージを伴ってリリースされます。

ひとつ断っておきますと、もう既に20年近い蓄積がありますし、今のβ版パッケージというのは呼び名がβ版というだけで、完成度としてはずっとそのままでも十分成立し得るパッケージです。
けれど個別の商品に最適化したギフトパッケージを作るのには、リスクが高い。新商品はいつもそういう状態でリリースを迎えるので、そういう状況でも良いクオリティを担保したいからこそβ版という自信満々のパッケージを用意し、新人にはその衣装を着せることにしたわけです。

何だかこう書くと、創業当初の失敗が活きている気がしてきました!

 


思いのほか執筆に時間がかかってしまったのですが、そんな形であーだこーだ言いながら、19年間やってきましたし、これからもやっていきます。
ひとつ確実に言えることは、私たちSOW EXPERIENCEは100人前後のスタッフが(ギフティのグループ会社でもあるので、全部ひっくるめると世界で1000人くらいいるのかな?)、日々とにかく「ギフトを贈る人、贈られる人、そして体験施設の運営会社やSOW EXPERIENCEメンバーの幸せの総量を増やす」ことを目指して奮闘しているということです。
今週も皆さん、お疲れさまでした。そして20年目を迎えるSOW EXPERIENCEを、引き続きよろしくお願いいたします。

繋がれ広がれ、ギフト&エクスペリエンス・リレー

SOW EXPERIENCEの社内では、いつも、とても高い熱量をもって商品開発を行っています。
そのプロセスを少しでも情報として見える形にしたら、商品や会社に興味を抱いてもらえたり、ファンになってもらえるのではないか。場合によってはそれによって、売上や利益が少し増えて社内外に還元していけるのではないか。
そんなことを考え、SOW EXPERIENCEのnoteをリニューアルしてみました。
今のところ、いくつかの商品の開発秘話が最新記事として投稿されているので、もしよかったらぜひ読んでみてください。おすすめは下記です。

 

 

それぞれの文章は割と長いので、大勢の人が読んでくれるとは期待していません。
数十人とか、100人くらいでも構わない。じっくり読んでくださる一握りの方々に、我々の活動を知っていただき、情熱の一端を感じていただくこと。
まずはそのあたりを達成したら、そこからジワジワ広がっていく何かがあると信じています。

 

体験ギフトは素晴らしい商品です。
体験を贈るという形で自分以外の誰かのことを気にかけ(働きかけ)ることができ、気にかけた相手はギフトをきっかけに、何か素敵な体験を楽しめる。
そこには他者との関係性とか、経験とか、大事なものが詰まっていると思うのです。
今後、ほかにも様々な商品の開発秘話などが更新されていくはずですが、全てはこの「ギフト&エクスペリエンス・リレー」を繋げ、広げていくため。
もし贈り物の機会があったり、周囲に贈り物を探している人がいたら、思い出していただけると嬉しいです。

ワンオペ10days総括 2024

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今年も恒例のワンオペdaysが終わりました。今回は10日間で、恒例と言っても毎年ではなく、2年にいちど。イタリアで開催されるスローフードの祭典「テッラ・マードレ」に妻が参加するため、この期間は妻(母)不在で過ごす日々となるわけです。恒例行事としてのA面はイタリアのイベント、こちらはB面という感じでしょうか。
今回と前回の一番の差分はB面(つまり我々側)に三男も参加したことです。2年前は三男はA面に連れて行ってもらい、B面では前半は日常生活、後半は北海道東部のキャンピングカーツアーに出かけたのですが、今回は4歳児もBチーム。別に大した情報ではありませんが、土曜朝、割とのんびりしているので少し書いてみようと思います。

 

地ならし
兄たちがいる故か、割としっかりした印象のある三男ですが、とはいえまだ4歳。ザ・幼児です。夜は妻と布団に入る日が大半なので、夜の眠り、ここをどうスムーズに誘導できるかが一番の肝です。幸い、普段の生活で妻の帰りが遅い日は僕が一緒に寝ることが月に何度かあり、そのときは「YouTubeで割とのんびりした亀の映像を観ながら寝る」という謎のスタイルが定着しつつあったことは、ひとつ僕にとっても、彼にとっても安心材料です。それに加えて二度ほど、妻が国内の出張の際に2-3日くらいのB面プチを敢行して、小さなテストを繰り返したりもしていました。このあたりの予行演習は多分うまくいった気がしてまして、振り返り自己採点はこちら→◎

 

直前のプラン変更
ワンオペdaysが始まる数日前までは、何かと仕事が立て込んでいる僕の負荷を少しでも下げるべく、中盤の数日は上のふたりを近所に預ける計画を立てていました。けれど妻が遠いどこかにいる状態で二人生活となると、さすがに三男が寂しさを抱くのではと思い直し、兄たちのお泊り計画は中止。みんな一緒に楽しく過ごしてもらうことにしました。お泊りを実施しておらず比較ができないのですが、結果的には大きな問題は何もなく、兄たちもお風呂、トイレ、遊び相手など全般的にサポートしてくれて僕の負荷軽減にも貢献してくれました。振り返り自己採点はこちら→◎

 

旅のメインは東京九州フェリー
今回の旅は福岡と鹿児島で過ごしました。各所でいろんな場所に立ち寄ったり、このBチームの中でも長男だけは別プランで進行したり、何かと常に連立方程式状態なのですが、結果として一番強く印象に残ったのは東京九州フェリーだったように思います。横須賀から福岡(門司)への20時間の船旅。しかも横須賀発が11:45pmと真夜中で、特に三男には少し過酷な時間帯。けれど良い機会と思い乗ってみました。
この船は全長222mで、かなりの大型船。どちらかというとトラック(貨物)の運搬がメインな気がしますが、船自体が新しいこともあって船内はとても綺麗、かつ大浴場あり(露天風呂も!)、小さなマシンジムとか映画上映ルーム、そして食堂やカラオケルームなど退屈しないよう色々工夫されている印象でした。
食堂の食事も割と美味しくリーズナブル、日曜早朝は大画面テレビでオオタニ出場の試合を放送していて、海の上でも人々が群がってオオタニを見守る様子が印象的でした。
別に何か魂揺さぶられるようなスペシャル体験というわけではありません。けれどほぼ丸一日海の上という時間の長さや、本州、四国、そして九州と窓から見える景色が徐々に移り変わっていく様子なども含め、楽しさの余韻が残る船旅となりました。SOW EXPERIENCEは旅のギフトが盛り上がりつつありますが、こんな楽しいフェリーはぜひこれから仲間入りしていただきたいなと思っているところです。
というわけで振り返り自己採点はこちら→◎

 

想定外・想像の外側を楽しめ
今回の旅でいちばんの想定外は、鹿児島で予約していたレンタカーに乗ろうとしたら、僕の免許の有効期限が切れていたことです。あちゃー。鹿児島中央駅から桜島を超えて、垂水にある提携施設に泊まってみようと思っていたのですが、泣く泣くキャンセル。こういうシチュエーションで、どこに泊まるか、プランBをどう組み立てるか。フェリーとバスで目的地を目指すか、もしくは目的地を諦めて近場に泊まるか。だとすると優先すべきは近さか、綺麗さや雰囲気か、はたまた大浴場の有無か、、、レンタカーの店員さんのちゃちゃ入れも交えつつ皆で決めていく、そういうプロセスも悪くないものです。最終的に駅近辺の西鉄系列のホテルに泊まりましたが、桜島が眼前に綺麗に見えたし、すぐ近くの維新館という施設も楽しめたので結果オーライ。ドタキャンしてしまったレンタカーとホテルの皆さま、申し訳ありませんでした。
食事は僕の一存で豚しゃぶを選択、長男は当初「僕はしゃぶしゃぶはちょっと、、、」とか言っていましたが、そんな彼が一番気に入ってもりもり食べていたので、彼の世界を1ミリでも広げられたようであれば嬉しいです。どちらも大した話じゃない、ちょっとしたことですが、ピンチをチャンスにして楽しむことができたので振り返り自己採点はこちら→◎

 

そんなわけで、今回も良い旅となりました。貼付は船上の一コマで、長男は何やら創作活動、次男は英語の勉強(?)、三男はトミカとウルトラマンで遊んでいます。割と落ち着いた瞬間を切り取ってますが、こんなシーンは1%くらいでその他大半はワーワーガヤガヤしており、印象操作と言って差し支えありません。けれど自分も子どもたちも、これまでもこれからも色んなところに出向いていく。そしてどこにいても、それが自分の意思だろうとそうではなかろうと、そこで自分のしたいことを体現していく。そんなことを続けられたら良いなと思うのでした。それでは皆さま、良い連休を◎
(ちなみに帰宅の翌日。妻がイタリアから帰国しました。さらにその翌日、出かけた先で財布入りの鞄を紛失し、免許もなくなり、さらなる混乱に陥ったことは言うまでもありません)