「面白い」センサー(『翼の王国』11月号へ寄稿)

「うおー、すげー!」 内容は何でも良い、とにかく「面白い」とか「楽しい」という感情をできる限り大きな方向に振り切れる選択をしていく。 教育方針というものをあまり意識したことはないが、強いて言えばそういう暗黙の了解が夫婦間に自然と形成されているように思う。 都内から海沿いに引っ越してきたのも、保育参観で見た子どもたちが少し退屈しているように見えたからだし、小学1年生になった長男が「今日は学校に行きたくない」と言えばオフィスに連れて行くことだって珍しいことではない。 とにかく日常の中に少しでも多くの「面白い」が散りばめられていれば、自ずとその先の素晴らしい未来は切り開ける、そう信じている私たちにとって今夏の沖縄旅行は必然でもあり、そして実り多きものとなった。 元々は仕事の関係で、いわば出張として行く予定が先立っていたのだが、以前から長男が、それにつられて3歳の次男も「ジンベイザメを見たい」と話していたことが頭をよぎり、よしではこの機会に見に行こう!という流れとなった。(自宅から30分ほどの八景島シーパラダイスにもジンベイザメがいたのだが、昨年死んでしまったようだ) 3泊ほどの旅程の中で唯一最大のターゲットであるジンベイザメ美ら海水族館は最終日にセット。もちろん、これをエサに道中いろいろと言うことをきかせようという親の打算である。 今回は本島だけでなく、宮古島石垣島、そして西表島と多くの島をせわしなく巡ってきたのだが、どの島でも「ぅおー、すげー!」な出来事と随所で出会うことができ、親子ともに大満足であった。 もちろん雄大に泳ぐジンベイザメは飽きるほど見てきたし、美ら海水族館で印象に残ったのは何かと質問すると、意外にもジンベイザメではなく発光する深海魚だったというのも嬉しい誤算だ。 西表島で運良く出会ったヤシガニも驚くべき形と大きさで印象に残ったが、中でも一番嬉しかったのは宮古島の透き通るような海で飽きることなくシュノーケリングしながら魚を追い求め続けていた子どもの姿だ。 そうそう、そういうことだよ。最高の今を追求すれば自ずと明るい未来に地続きで繋がっていくのだよ。 朝起きてから寝る直前まで遊ぶことだけ考えている子どもにとっては釈迦に説法かもしれないが、今回の旅を通じて彼らの「面白い」センサーがより敏感に、より広範に機能してくれるようになったようであれば嬉しいことこの上ない。

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