大震災というエクスペリエンス<br>ー希望とは未来ではなく「今」に根ざすもの ー

先の大地震から早くも5日、何だかとても長く感じます。 今回の震災で失ったものは数知れないし、まだ被害は拡大するばかりですが、そろそろ僕は腰を据えて今回の地震を通じて得たものとか、得られそうなことについて考えたいと思います。

僕は、モノではなく経験/エクスペリエンスをプレゼントとして贈れる体験ギフトという商品の企画販売を行う会社を6年前に創業し、今も代表をやっています。 このビジネスをやっていると、僕らは楽しい体験/経験を世の中に広めることを目指す会社のように見えるかもしれませんし、オフィスも楽しい空間だし仲間も楽しい人ばかりなので、そんなイメージを増長させていると思いますが、実際には少し違います。

百聞は一見にしかず。僕らが目指す社会、または目指す人の在り方が凝縮されている動画を見つけました。 今回の震災の中で多くの人の心を打ったこの映像、ご覧になった方も多いと思いますが、ぜひもう一度見てみてください。

決して悲観しない、かといって過度に楽観するわけでもない。 水も電気もない、救助されるかどうか分からないし、もちろん情報だって入ってこない。 そんな状況化でも決して動じず、まっすぐ前を向いて希望を語り、希望を伝播する。 ヤンキース松井秀喜さんの著書に『不動心』という本がありますが、不動心とはまさにこのおじいちゃんのためにあるのではないかと思います。

僕は、こんなおじいちゃんみたいな人が一人でも増えて欲しい。 このおじいちゃんこそ僕らが目指すべきシンボル的存在だと、この映像を見て強く感じました。

でも「このおじいちゃんを目指そう!」と掛け声をしてもあまり意味はなくて、実際にこのおじいちゃんのレベルに達するにはやっぱり色んな経験、嬉しさも悲しさも、酸いも甘いも、怒りも許しも、富も貧も、いろんな経験を通じて百万通りの感情のトンネルをくぐり抜け、人生には、そして世の中には常に浮き沈みがあるということを頭ではなく身体で感じなくてはならないと思うのです。

諸行無常」という仏教用語がありますが、この言葉が示す通り、あらゆる物事は常に移ろいゆく、だからこそ浮いてるときも沈んでいるときも、決して悲観も楽観もせず常に今を全力で生きること。 今を全力に生きることができれば、きっと未来も全力で生きることができる。そう信じることができる。先人はそれを「希望」と呼んだのではないでしょうか。 希望とは未来にあるのではなく、今にある。「今」に根ざしている。僕はそう思います。

だから「体験」であり「経験」であり「エクスペリエンス」なのです。体験することを通じてとにかく経験値を積むこと、そして腑に落として身体で理解すること、そして明日への希望の源となる今を全力で生きること。 ビジネスとして商品にできるのは基本的には「楽しい体験」だけなので、何だか楽しげなラインナップになっていますが、本質的に目指していること、やりたいことはそういうことです。

今回は本当に信じられないほどの未曾有の事態ですが、全国民がまさに今経験しつつある大震災を通じて、被災した人もそうでない人もとにかく全てを未来へと繋ぐべく今を全力で生きること、この状況下でも全力で生きることを通じて未来への希望を絶対的なものにしなくてはならないと思った次第です。

大震災というエクスペリエンス。 しばらくは混乱が続くでしょうが、これを乗り越え、おじいちゃんが言っているように見事再建することができれば、きっと私たちは希望に満ち溢れた国ニッポンに生まれ変われるのだと信じています。買いだめ(ガソリン含む)などしてる場合ではありませんよ!!

以上、根本的なことで大切なことだけれど、ちょっと抽象的になってしまったので、近々、もう少し具体的な復興に関するアイディアなどもう少しプラクティカルなBlogも書いてみたいと思います。