きっかけのスイートスポット論。

▼僕は最近よく“きっかけのスイートスポット”という言葉を使う。 これ、今後あらゆるアクションを起こしていく上でとても重要な概念だと思っているので、ここでも説明させて頂きます! ▼僕らはエクスペリエンス事業を営んでいる。 これは「経験(体験)をギフト化して贈れるサービス」だが、「きっかけを贈ることのできるサービス」と言い換えることもできる。 自分ではなかなかチャレンジしづらいことも、ギフトとしてとある日に突然もらったら、障壁がぐっと下がる(お金を払う必要もなく、ただ予約をして行けばOKだから)からだ。 ▼では、ここで今、例えばゴルフ・エクスペリエンスのギフト化をしようとする。 メニューの内容を考える際は、「きっかけを提供する」という観点が不可欠だ。 ここでもし、【ゴルフクラブ一式+ウェア一式+専属コーチ半年間】をメニュー化したらどうなるか。 どれもお金がかかるので、高額になることは間違いない。 なので販売数があまり見込めなくなるかもしれないが、これをもらった人は良いきっかけとなって、恐らくゴルフを始めるだろう。 ▼でもこれは、きっかけのスイートスポットをうまく突いているとは言えない。 全てお膳立て・アレンジしてあげてしまうと、自主性や積極性が著しく損なわれるからだ。 そこで例えば【半年後のゴルフコースラウンド(デビューラウンド)予約+アイアン1本】というメニューにする。 このメニューなら、先ほどのメニューの5分の1くらいの値段で組めると思うが、効果は同等かそれ以上あると思う。 半年後にラウンドデビューが既に予約・約束されているとなれば、それが良いモチベーションとなって、恐らく勝手に打ちっ放しにでも通い始めるだろう。 この「勝手に通い始める」というところがポイントだ。 アイアンが1本セットになっていれば、その可能性は更に増大する。 先に挙げたメニューよりだいぶコンパクトなメニューだが、その効果は非常に大きい。 これぞまさに、きっかけのスイートスポットと呼ぶに相応しいものだ。 ▼この概念は、現代社会における様々な場面で必要な考え方だと僕は思っている。 例えばビジネスプランコンテストや会社法の改正による会社設立の簡易化は、より多くの人にきっかけを与えていることは間違いないと思うが、一方で、「本当に芯のあるやつは誰の手助けも頼らず這い上がってくる」という考え方にも、一理ある。 2つの考え方の中間のどこかに、きっかけのスイートスポットは眠っているはずだ。 ▼もう一つの例は、教育制度。 「クリエイティブな人材を育てるための画一的な教育制度」ほどアホらしいものはない。 教育こそ最も、チャンスを提供するけれど自主性や積極性も育んでいくきっかけのスイートスポットが必要とされている場所だと思う。 ▼僕が昔から「何かを教える」ことがあまり好きでなかったのも、多分このような思想が影響していたのだと思う。