先日、とある電機メーカーでインターホンの企画設計をやられている方がオフィスにいらしたのだが、話を伺ってちょっと心配になってしまった。 なぜならGoogleがネットと繋がっているサーモスタットを作るNestという、設立数年の会社を2000-3000億円で買収したり、アップルやマイクロソフトやソニーが家の中のインターネットの接続ポイントの覇権を争っていたり、そういう中でインターホンというのは悪くないポジションなのではと漠然と思っていたのだが、その方は現状、会社の今後の方向性に希望を見出せずにいたからだ。 その昔、大学卒業後に1年間だけ僕がパナソニックに起業家採用という形でお世話になっていた頃、家庭内のネットポータルをマンションデベロッパと組んで事業化できないかなどと考えていたこともあったので、尚更、そんな有望な部署の方が希望を見出せていない事実にソワソワしてしまったのだ。
もちろん部内の人も会社としても、そういったプラスの可能性を認識しつつも全体としてそちらの方向性に動いていくような舵取りはできていないという話を伺って、なるほど確かに、これではアップルやサムスンにどんどんやられてしまっても仕方ないなと思った。
もちろんインターホンは防犯時の通報のような役割を担っていたりもするのでヘタなことできないのは分かるのだが、でも、各社がゲーム機やタブレットで覇権を狙おうとしているその時に、まさかのインターホンで壮大なビジョンを掲げたりしたら、少なくとも「おっ」と思われるのは間違いないと思うのだ。 そういう「ほんとか?」というようなサプライズ的青写真を消費者も投資家も求めているのではないか。 もちろん社内には色んな事業があるだろうし、多少の軋轢もあるのだろうが、それを抑えるのがリーダーというものだろう。
話は変わるが青年海外協力隊という、日本が長年続けている途上国支援(ODA)があって、若い人が2年間、様々な発展途上国で水道整備や語学教育などを行ったりするのだが、この活動の日本国内での評価がイマイチ定まっていないという話を最近聞いた。 幸い周囲に、この協力隊帰りの友人が何人かいてよく話を聞くのだが、現地では協力隊の活動はとても喜ばれるらしい。そりゃそうだ。無償で良いことしに行っているのだから。 そんな人が毎年700人以上、平均2年滞在なので常に1400人くらい海外に滞在している。これは凄いことだ。しかもこの経験をした人は確実に逞しくなって帰ってくる。将来的な外交の地ならしとしても役立っている。 でも、国内での評価は定まっておらず、民主党政権下では事業仕分けの対象にすらなってしまった。(仕分けられずに済んだが) そしてここでも唯一足りていないのは、これが何のためのものなのか、何処に向かっているのかという本質的な動機や思想だ。 それは、Let it beを何度聴いても「良い曲だ」とうっとり思ってしまうように、何度話しても何度聞いても、話している自分や聞いている相手がワクワクしてしまうようなものだと良いのだろう。
夢を抱くべきか否か、夢とは何かはよく分からないが、人や企業が活発に動いていく上で希望は不可欠だと思う。 そしてその希望が欠けがちなのが、この日本社会なのではないかと思うことが、やっぱり今でもよくある。
僕のやっている会社はまだ小さいが、少なくともこの希望は充満していると思うし、だからこそ毎日皆、大企業ほどの安定はないが元気に仕事をしている。 そんなに簡単に全てが思い通りにいかないことは、この9年間でよく理解した。 なので今は9年前よりは地に足付けて、今の本業を副業にするくらいの気持ちで新たな取り組みを準備してるが、SowExperienceの場合には何よりも "Good Experience, Good Life./良い経験は、良い人生" この、僕らの活動全てを統合・包含する概念をブラすことなく、しっかり打ち出していくことで勢力を増したいと考えている今日この頃。長文失礼。